◆労働契約法20条に違反と判断 77万円支払い命令◆
2016年7月26日、大阪高等裁判所(池田光宏裁判長)はハマキョウレックス(本社浜松市)に対し正社員との間に格差のある手当の一部が労働契約法20条に違反するとし77万円の支払いを命じました。
有期契約で働く分会長が、正社員との賃金体系の格差は違法として是正を求めた訴訟は、一審では通勤手当のみを「不合理」としました。しかし控訴審では通勤手当に加えて無事故手当、作業手当、給食手当が労契法20条に違反していると判断しました。
◆高裁レベル初◆
パートや派遣などの有期契約で雇用される労働者の待遇改善を目的として2013年に施行された改正労働契約法は、有期契約労働者と正社員の労働条件の違いを「職務の内容、その他の事情を考慮し、不合理であってならない」と規定しています。裁判では正社員だけに支給される7種類の手当がこの規定に照らし不合理なのか否か、どのように解釈されるのかが争点でした。
具体的な賃金体系についての司法判断は高裁レベルで初めてのことで、今後の有期契約労働者の処遇改善に繋がるだけでなく、三人に一人が非正規雇用である日本の雇用形態と政府が進める「同一労働同一賃金」の議論にも一定の影響を与える意味深い判決となりました。
ハマキョウレックス彦根支店の有期契約労働者は正社員と区別なく同じ勤務表のもと、同じ仕事に従事しています。現在正社員と有期契約労働者の賃金格差は年間100万円以上あり、その格差是正の端緒となる画期的な勝利的判決となりました。
◆労働契約法20条◆
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない
判決後、裁判所内記者クラブで記者会見が行われました。
同日の17時から学働館・関生で「ハマキョウレックス事件・控訴審判決報告集会」が原告弁護団と関係者が参加し開催されました。ハマキョウレックス事件は、関東支部で5月13日、東京地方裁判所長澤運輸事件で勝利判決「定年後再雇用の賃金格差は違法(労契法20条)」に続く勝利的判決です。 全日建(連帯ユニオン)は労契法20条裁判のパイオニアとなりました。